1 趣 旨
住宅や建築物に使用される内外装仕上げには、工場で生産されたボード、パネル等の製品を内外壁に取り付ける「乾式仕上げ」と、現場で塗料やモルタルなどの液体状の半製品を内外壁に塗り付ける「湿式仕上げ」とがあります。
特に湿式仕上げについては、比較的廉価で様々な模様や色の表現ができることから、住宅、学校、施設などの建築物の内外装仕上げに幅広く、大量に使用されています。また、近年建築物ストックの増加に伴って内外装の塗り替えや、リフォームの需要も増えています。
しかし、材料の選び方・使い方や維持管理によっては、比較的早い 時期に不具合や欠陥が生じ、耐久性・居住性ばかりでなく建物の資産価値や美観、そしてまち全体の景観にも影響します。また、最近では地球環境の保全やシッ クハウス問題もクローズアップされ、塗料等に含まれるVOC(揮発性有機化合物)の低減やライフサイクルアセスメントへの国民の関心も急激に高まってきま した。
このような背景から、環境や健康への影響あるいは資源問題を踏まえたうえで、建物をより美しく、良質で長期間維持し、市民が快適でより安全な暮らしを営むことが今後の重要な課題となっています。
これらを解決する手段として、湿式内外装仕上げに関する一般市民の知識の向上や、市民と建築関係者との相互理解、あるいは安全向上のための調査研究及び情報提供、相談の場が必要と考えられます。
よって私たちは、非営利の「湿式仕上技術センター」を設立し、建物の湿式内外装仕上げに関する調査研究を行うとともに、広く一般市民や建築関係者に対して情報を提供することによって、啓蒙をはかり、良質な建物の保全と健全なまちづくりを目指し公益の増進を図ります。
しかし、活動を実施する上で資産の保有や銀行口座開設などの際に 支障が生じることも予想されるため法人化は急務です。また、私たちの会の役員はほとんどがボランティアで参加しており、営利を目的とする団体ではないので 会社法人はふさわしくなく、市民すべての人々が健やかに安全に暮らせる社会貢献という観点からも、特定非営利活動法人の設立が望ましいと考えています。